2008年10月21日

本>時代・歴史 「孤島物語」 作:白石一郎

「孤島物語」,作:白石一郎,新潮文庫です。
各地の様々な島を舞台にした、7編の小編を集めた作品集。
古本屋で、目に付いて買ったので、古い作品なのかどうか良く分かっていませんが、この作家さんの作品は初めて読みました。
個々の作品間の関連は、物語の舞台が、島である、または島に大きく関連するという以外は特にありませんが、島という地理的、地勢的要因がお話し全体に大きく影響しているという点では共通したものが感じられます。


最初、背表紙の紹介文では、人情譚ということであったのですが、そういう感じではなく、むしろ島という環境ゆえに人生に起こる様々な運、不運を含めた人々の生きる様をそのままに描いたという感じで、まあ人情譚といえるものもありましたが、どちらかといえば悲しみを感じる作品がむしろ多かったように私には思えました。

どの作品も、特別な悪人が出るわけでもなく、また特別な善人がいるわけでもない。
人生の中で起きたある出来事に対して、親身になってあげようとしますがそれも過剰なものではなく出来る範囲でやれることをやっている,また悲運に見舞われた場合も特別陥れられたというより、めぐり合わせの悪さというある種のどうしようもなさを感じるというところ。


一番、印象に残っているのが八丈島に流された武将宇喜田秀家を題材にした“鳥も通わぬ”でしょうか。 宇喜田秀家を描いてはいますが、むしろ本来描きたかったのは、その次男の乳母となった阿井の悲運ではないかと思います。 乳母となったとき、その次男と同じ年の生まれの自らの子供と別れ、乳母となり、秀家が流されるとき、その供に選ばれてしまったゆえに自らの子とは生き別れになってしまう。 その時代の主従の関係からどうしてもそれに逆らえない女性の悲しさが描かれています。(そして主の側の身勝手さも感じる作品)

特別強烈な何かを感じるというわけでもないのですが、どの作品もそれなりにいい感じで全体に秀作の作品集という感じです。 ここのところ、ちょっと本を読むのが停滞していたという感じで、本の感想を書くのは久しぶりです。 まあ、またぽつぽつと読み始めているので、ぼちぼちと書いていけるかなぁと思っています。


posted by 大阪下町オヤジ at 04:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 本の雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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