2009年02月18日

本>文芸 「エレンディラ」 作:G.ガルシア=マルケス

「エレンディラ」,作:G.ガルシア=マルケス,ちくま文庫です。
背表紙の紹介文によると、”大人のための残酷な童話”として書かれた物語とのこと。
まさにその通りの7つの物語が収録された短編集。


この作家さんは、コロンビアの作家さんだそうで、それぞれの物語の舞台はラテンアメリカのどこかといった感じなのですが、その描写が、単に語り口が童話(又は寓話)的という以上に独特なものを感じて、その描かれている世界観は、非常に魅了されるものがあります。

人間の持つ様々な側面、残酷であったり、愚か/無慈悲であったり、単純に感傷的な言動であったも裏には自分勝手なものが覗いていたり・・・ 何とも書き表しがたい、複雑な思いにとらわれます。 しかし読むものをひどく引きつけるものがあると思います。


印象に残っているのは、
”大きな翼のある、ひどく年取った男”,貧しい寒村に、ひどく老いぼれた天使が漂着して去るまでの出来事を描いているのですが、その天使が、コミュニケーション出来る存在とは描かれていなくて、周りの人間が勝手に騒いでいろんな出来事が起きるのですが、天使自体はそれに関わりなく、季節とともに去っていく。 何かに勝手に期待し、相手が期待通りでないと幻滅し、、、と相手の立場になろうとしない人の身勝手さを感じる作品。

”この世でいちばん美しい水死人”,これも漂着した人並外れて大きな体の水死人の葬儀を挙げてやるといったお話なのですが、村人は、彼の姿から生前の彼のことを勝手に空想し、可哀そうがったりし、出来る限りの葬儀にしてやろうとします。 しかし、もし彼のような存在が生きてこの村にいたなら、村人達は彼をウドの大木扱いし、馬鹿にしたかもしれないことも描かれており、村人が彼を哀れみ、同情しているのも、彼が死人という自らの利害に無関係な存在になっているという条件下であってのこと。。。 なのでこれも人の身勝手な又は無責任な側面を感じさせるものと私には思えました。


”無垢なエレンディラと無情な祖母の信じがたい悲惨の物語”,これは、この本のタイトルになっているエレンディラのことで、本当のタイトルはこんなに長ったらしいものになっています。
このお話の最後で、エレンディラは、彼女を長い間抑圧してきた祖母が殺され、確実に息が止まったのを確認したとたん、分別+狡さを持ち、彼女のために祖母を殺害した男を残し一人走り去ってしまいます。 どこまで計画的であったかは、分からないにせよ、彼女が男に祖母を殺させ、その後男の期待と異なる行動をとったことは間違いないところと思います。
どこまで人は無垢といえ、どこから功利的といえるのか?どう考えていいか分からない複雑な読後感。


人の持つ余りにも様々な面,いい面悪い面ひっくるめて、余りにも多くのものが提示されているように思えて、それを批判的に見ていいのか?、自分に置き換えて自己批判/嫌悪のネタにしていいのか?どう思えばいいのか何とも整理がつかない複雑な読後感という状況です。 しかし、確実にこの作家さんの描き出す世界観に魅了されていると思います。
久しぶりに、個人的には大当たりの作品を読んだという気分です。/span>

意外と癖が強いかもしれないので、好き嫌いは激しい作品/作家さんかも知れません。
しかし、私は是非、この作家さんのほかの作品も読んでみたいと思っています。
ご興味を持たれた方は是非、お手にとって見てください。

※しかし、このところ、ちょっと重い作品が続いたので、ちょっと次は、楽に読めるのがいいかなぁ〜と言う気分です。


posted by 大阪下町オヤジ at 01:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 本の雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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