2006年12月31日

マンガ> 「石の花」 作:坂口尚

「石の花」,作:坂口尚,全5巻,講談社漫画文庫です。
2つ続けて、この坂口尚さんの作品のことを書きます。
第二次大戦時、ナチスの侵攻を受けたユーゴスラヴィアの戦乱を、その侵攻の初めから、解放までを描いています。 内容的には、かなり重いものですが、読むだけの価値は十分あると感じる作品。

主人公クリロは、楽しい遠足の帰り、突如として飛来したナチスの戦闘機の機銃掃射を受ける。 ナチスの侵攻の始まりであった。 家族との別れ、避難生活、そしてパルチザンへの参加,戦闘と彼の運命は大きく揺さぶられていきます。

この作品、戦争という極限の状態の中で、人間の見せるさまざまな悲しい、醜い面を赤裸々に描き出しています。 そしてそれだけではなく、読む側に、人間の持つ、色々な欲望や考え方を描く中で、では、我々はこれからどうするのがいいのか?と根源的な疑問を投げかけてきているようです。 その意味では、かなり重い読後感の作品。

「あっかんべェ一休」の一休さんもそうなのですが、この作品の主人公クリロも非常に真直ぐです。 憎しみに囚われて、むやみに敵を殺害するといった行動はとらず、常に争いという物に疑問を感じ、妥協して流されるということはしません。 その意味では、かなり理想化された主人公の言動であるのですが、そこにこそ作家さんからのメッセージがこめられているように、私には思えます。

この主人公を“理想主義にすぎない”、と軽くあしらってしまうことは簡単でしょうが、それはあんまり良くないような気がします。 少し自分を省みて、ちょっと周りに関して寛容になるとか、少し自分の欲望を抑えてみるとか、何か出来ないか?と、ちょっと考えてみるほうが良いと思います。(出来る出来ないは別として、考えてみるだけでも・・)

まあそういった気持ちになる読後感です。 一読して損は無い作品で、力作と思います。


posted by 大阪下町オヤジ at 19:22| Comment(0) | TrackBack(0) | マンガの雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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