2007年07月20日

本>時代・歴史 「下天は夢か」 作:津本陽

「下天は夢か」,作:津本陽,全4巻,日本経済新聞社です。私が持っているのは、単行本、全4巻ですが、今は、講談社文庫から文庫が出ています、巻数も同じで全4巻です。

織田信長の家督を継ぐあたりの青年時代から、その本能寺での生涯の幕切れまで、この人のひたすらに突き進んだ生涯を描いた歴史長編作品。
「武功夜話」の内容を取り込んで、川並衆の果たした役割の大きさ、信長、秀吉とのかかわりを最初に作品に取り込んだ作品ではなかったかと思っています。


まず魅力の一つが、この作家さん独特の殺陣、戦闘シーン、様々な武器、道具など非常にディテールがしっかりしていて迫力ある戦闘シーンを描いてくれているのが読む側としては非常に魅力になっています。 特に鉄砲の運用なども非常にリアリティが感じられて、読んでいてとても惹きつけられます。

もちろんそれだけではなく、家督を継いだ跡の信長が、国内の平定に悪戦苦闘し、あまつさえ実弟の信行にすら何度も裏切られていること、そのことから、もともとの性格もあるのでしょうが、自身の権力が拡大していくつれてますますその猜疑心が深くなり、初期の信長なら妥協して許し、自身の組織に組み込んでいたのが、だんだん自分に反する物は軒並み滅ぼすというように、不気味にその内面が変化していく様など、ぞっとする物があります。

信長自身の、発案による自分自身を神格化していくプロセスはやはり不気味なものがあります。

この作品では、この人物の描写が極めて乾いた文体で描かれており、変に情義的なつながりなどは描かれていません。 この時代、それぞれがそれぞれの立場で、己が勢力を守るため冷徹な判断を下していたのだと思われます。

信長に使えている身からすれば、正に何時どうなるか分からない不安な状態に置かれていたと思われます。


色々書きましたが、この作品、新たな信長像を、そしてその時代を描いている力作歴史小説なのは間違いないと思います。 ぜひ一度一読をお薦めしたい作品。

この「下天の夢」、秀吉を描いた「夢のまた夢」、家康を描いた「乾坤の夢」この3つが3部作といってよく、いづれも私は好きな作品、そのうち感想を書いて見たいと思っています


posted by 大阪下町オヤジ at 01:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 本の雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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