2008年02月28日

本>エッセイ 「勇気ある言葉」 作:遠藤周作

「勇気ある言葉」,作:遠藤周作,集英社文庫です。
遠藤周作さんと言う作家さんの雅号である“狐狸庵山人”、この作品は、その狐狸庵山人(又は狐狸庵先生)が古今東西の様々な格言、ことわざ等を題材に、ユーモラスに自身の考えを綴ったエッセイになっています。

最初は、この「勇気ある言葉」というタイトルと、格言等に関するエッセイということで、もっと勇ましい、景気のいい主張が書いてあるのかと思いましたが、全くそんなことはなく、むしろ逆で、格言をわざと曲解したり、ひねくれた見方をしたりして、ユーモラスな読み口であることには変わりませんが、時に笑わせ、時には鋭く,考えさせられる内容になっています。

面白いのは、このエッセイの構成で、ひとつの章が、まずテーマとして取り上げた格言等があり、それに狐狸庵先生の文章があって、最後に[編集部注]という形で短い文が添えられています。 その[編集部注]がまあ、本文である狐狸庵先生の主張に、ツッコミを入れたり、あえて曲解した狐狸庵先生の解釈の訂正をしていたりと、まあ、この部分でひとつの章としての落ちがつけられているという感じになっています。

最初の数章を読んだ時点で、これは、作家さん自身が[編集部注]と言う形を取って、自分自身に突っ込みを入れて、落ちをつけているのでは?と思ったのですが、最終章で種明かしがされていて、まさにその通りであったようでした。


この作品は、昭和49年から50年にかけて毎日新聞に書かれたエッセイだそうで、結構古い作品です。確かに、出てくる人物などはかなり古いものです。
しかし、読んでいて面白いと思ったのは、2008年という今、読んでみても、かなりの部分において、なるほどと思わせるし、同じ問題がやはり今もあると感じさせる所でした。


そういう意味では、人の世というのは、少しずつ形を変えつつも、いつも似たような問題を抱えているものなのかも知れないと思った次第です。
特に、若い世代に対する慨嘆等は、狐狸庵先生も思い、私より年上の世代が我々に対して思い、そして、正に今我々自身も今の若い世代に対して思うということで、永遠の問題なのかもしれないなぁと思いました。

若いときというのは、自分の判断、価値観に結構自信を持っているものと思います。
それは、まだ世間には、それ以外の様々な、あまりにも多様な価値観が存在しているということを知らないままでいるという辺りに起因しているのかな?と思ったりもするのです。 そう考えると、どんな時代の若者も、その点では大なり小なり同じなのかも知れないと思います。 それが、年を経た年代の人間からすると未熟と感じたり、独善的と感じたり、身勝手と感じたりして、多少の反発を生むのでしょう。

成長の過程の段階ゆえと思うと、寛容であらねばと思ったりもするのですが、若いがゆえと言っても、人迷惑になるようなことをするのは良くないと思いますので、若い世代には、自分の行動を客観視して振り返る余裕を、我々は、多少のことは笑って受け止められる懐の深さが求められる所なのでしょうね。(でも難しいですね,とても私はそんな理想どおりの懐の深さなどもてそうもありませんです・・・・)


とにもかくにも、作品としては、非常に、楽しめるし、それなりに考えさせられるポイントもあるいいエッセイです。 結構昔に書かれた作品ですが、今読んでも十二分に魅力がある作品と思います。 結構お薦めです。


posted by 大阪下町オヤジ at 01:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 本の雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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