2009年07月26日

マンガ> 「GIANT KILLING」11巻 作:綱本将也,画:ツジトモ

「GIANT KILLING」 11巻,作:綱本将也,画:ツジトモ,モーニングKC,講談社です。
この巻は、前巻の川崎戦の続きと、その後の数試合の様子まで。
川崎戦で出場機会を得たベテラン陣がいいプレーを見せて、ETUとしては、チーム全体の底上げにつながったという辺りが描かれています。


これまで、控えに回る事の多かったベテラン陣の何名かが逆にスタメンに定着しそうになったりと、シーズンを通してやっていく中で、どのチームでもありうることが出てきています。 (個人的には、飄々とした感じの石神選手が好きでした。)
前巻でちょっと意味深な形で描かれていて、この巻で何か大きくお話に絡む形で登場するのかと思っていた、スカウトの人は、この巻でも紹介程度でしたね。 たくさん登場があるというより、ポイントポイントで顔を出すという感じなのかもしれないと思いました。


次巻は現在調子を落としている、東京Vとの対戦のようで、プレシーズンマッチでも色々やってくれた相手の持田選手が、また結構出てきそうな感じです。


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2009年07月22日

マンガ> 「絶対可憐チルドレン」17巻 作:椎名高志

「絶対可憐チルドレン」17巻,作:椎名高志,少年サンデーコミックスです。
この巻は、前巻から、の続き”ファントム・イン・パラダイス”と”家に帰ろう”の2つのエピソードがが収録されています。

16巻の感想で、どうもいまひとつ楽しめていないという感想を書いてしまったのですが、この巻も正直なところ同じような感想でした。
色々と新しく伏線張ったり、登場人物間の関係や気持ちが、微妙に変化してみたりと、それなりにお話として面白くしてあるのは判るところですが、元々のお話の全体構成から行くと、バックグラウンド的な部分が間延びして描かれているだけという気がして、まだ中学生編になった故の面白さという所は正直ピンとこないという風に思っています。

単純に笑えたのは、むしろ4コマのサプリメントのほうのような気がします。 例によってネタ的についていけてない所も多々あったのですが・・・

本編部分の感想を一言だけ書いてみると、Aチームの人たちが不憫でした・・・

表紙絵は、中学生編から登場のチルドレンの同級生、悠里ちゃん。 その正体は深読みするまでも無く・・というところですが、チルドレンとの関係がいい方に転ぶか悪いほうに転ぶかが、お話に大きく影響しそうなので、そこが一つのポイントかな?とか思ったりします。
背景色は、明るめの黄緑(黄色味がやや強い)、きれいないい色で私は好きです。 人物の髪の色とか肌の色とかが引き立つ感じで、いいバランスだなぁと思いました。

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2009年07月20日

アート> 「白髪一雄展」 尼崎総合文化センター

阪神尼崎駅から徒歩5分くらいの所にある、尼崎総合文化センターで開催中の「白髪一雄展」を見てきました。 7/18〜9/6の開催です。

具体の作家さんの中でも、かなり有名な作家さんである白髪一雄さんの作品を、この作家さんの作品のシリーズ区分毎に分けて展示するという展覧会。 
具体美術協会に入る前の0の会の時の作品とかも展示されていて、この作家さんの全活動期間の作品を見られるという展示になっているようでした。


この方は私のとても好きな作家さんで、やはりこの方の代名詞である、足で描いた勢いと迫力を感じる抽象画面が好きで、今回も楽しみにしていました。

個人の好みとして、私はやはり画面内の構成要素が少ない作品が好きなので、今回見た抽象作品でも、色的にはあまりたくさんの色が存在していない画面が、また画面構成としては、ストロークが画面の端で止まっているものよりも、思い切って画面の端を抜けているような画面がやはり良いなぁと感じました。
色的には、パステル調に近い、きれい目の色が画面上で目立っている作品は、あまり良いとは思えず、どちらかというと、暗い目の色味のほうが私は好きでした。 色味的には濁っていても、むしろその方がぐいぐいと見る側に迫ってくる気がしました。


この方の作品をまとめてみたのは、兵庫近代美術館(まだ王子公園のとき)での展覧会以来であったように思います。 今回は、会場の制約もあったのでしょうか?あまり高さのある作品は展示されていなかったように思います。(過去もっと巨大な作品を見た記憶があるのですが・・・)
しかし今回は、この方の時期ごとの作品の感じの違いを見ることが出来たので、その点では非常に良かったです。
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2009年07月17日

本>社会学? 「パパラギ」 作:エーリッヒ・ショイルマン

「パパラギ はじめて文明を見た南海の酋長ツイアビの演説集」,作:エーリッヒ・ショイルマン,ソフトバンク文庫です。
これが書かれたのは、1970年代のようですので、結構昔の作品。 サモア人酋長のツイアビさんが西洋文明をつぶさに見て、感じたところを自分の仲間達に語った内容が書かれています。 基本的に、サモアの人から見た西洋文明や西洋人の考え方に対する批判的な見解を示した内容になっています。

しかし、今読んでも、確かになぁ・・・と自分の耳が痛いような、そして、ちょっと意外な切り口で物事を見ていて、非常に面白い内容です。
上記で”西洋文明に対して”と書きましたが、それはこの方が主にヨーロッパを見て、その見解を述べられているので、そう書いただけで、その内容は、もっと一般的に、今一番幅を利かせている人間社会の仕組み全体に対して非常に痛い所をついているので、どの国の人が読んでもそれなりに意味がある内容になっていると思います。


細かいところでもたくさん面白い観点や考え方が書いてあるのですが、特に面白いと感じたことを書いてみますと、
”考えるという重い病気”の章で、考えるということに対して、特に物事を色々定義しようとする思考に対して非常に批判的で、それゆえに人々が苦しんでいるという主張には、非常に納得させられるものがありました。(そしてかなり耳が痛かった・・)
勉強して、物事を論理的に突き詰めたり、理路整然としてみたり、新たな概念を考え出して提唱してみたり・・・ なんとなく生まれてからの教育や、刷り込みで、そういったことがすごいこと,そうでないとダメなんだとなんとなく思い込んでいます。 でもそうでない答えがあっても別にかまわない・・・

もちろん、今の日本の社会で生きていくには、そうも言っていられないし、いまさら慣れ親しんだ、思考してしまう癖を捨て去ることなど出来はしませんが、一度こういった考え方に接するのは十分に意味があったと思っています。


もう一つは所有に関することで、”これは自分のもの”と定義してしまうこと,それが所有する欲望や他人と自分を比較することにつながり、結局は人の精神を大きく拘束してしまうことになっている。 この主張も非常に気持ちに響くものがありました。

どうも、この本全体を読んでみると、アーサー・C・クラークさんの「2001年宇宙の旅」
に出てきた一節が思い浮かぶのです。 一言一句正確ではありませんが、”人は、道具を作った、人はそれを使用してきた、しかし今や使用されているのは人であり、主人はもはや道具のほうなのだ”という内容の一文があったと記憶しています。
本当に、人は、様々な道具や、思想や、宗教や、社会の仕組みを作り出してはきましたが、むしろ人間の側がそれに縛られてしまっているように思えてしまいます。


この作品の主張が全てにおいて正しいと言えないのはもちろんです。 しかし違う視点での考え方も知ってみるという点では、非常にいい内容であると思います。
ご興味を持たれた方には是非一読をお勧めしたい一冊です。
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2009年07月14日

アート> 「やなぎみわ 婆々娘々!」 国立国際美術館

地下鉄肥後橋駅から徒歩しばらくの所にある、国立国際美術館で開催中の「やなぎみわ 婆々娘々!」を見てきました。 この美術館のB2Fで開催中です。 6/20〜9/23の開催です。

この方は、技法としては写真の作家さんですが、既存の風景とか人物とかを切り取ってというのではなく、自分で人物、背景全部含めて作って(特殊メイク等々色々使っているそうです)それを写真にしているという作品なので、技法はともあれ、具象の作品という風に思っているほうが良いような気がします。

展示作品は、3つのシリーズが展示されているという構成でした、”マイ・グランドマザーズ”、”フェアリーテイル”、”ウィンドスウェプト・ウィメン・シリーズ”と名前がついていました。


私は個人的な好みとして、要素が余り多くない画面とかを好きになることが多いので、正直なところ、ポスターとかチラシの作品を見て、どうかなぁ?と思いながら会場を後にするような気がしていたのですが、実際も全体としてそういう感想でした。
別に否定するような気分では全く無く、展示とかもすごく凝っているなぁと思ったりしたのですが、なぜかあんまり気持ちが動くことも無く、すーーーっと会場を後にしてしまいました。

もしかしたら、画面の人物達が、非常に作り込まれているのがあまり好みではなかったのかなぁ?という気が今はしています。
登場人物は、老いた女性が結構多かったのですが、それが基本的にはどうもメイクで若い女性を老人にして撮っていると思われ、そこに変に違和感があったのかもしれません。
(余りにも作られすぎていると感じたのかもしれないです)

もう一つは、この方は、女性の作家さんで、女性を登場人物として作品を作られています。
私は不惑をとうに超えたおっさんなので、そういった女性の考え/思い みたいなものを全然理解したり共感したり出来なかったのかなぁ??とかも思ったりしています。


今回、”良かったです”という感想ではないのですが、ある時期は全然良くないと思っていた作品がある時から急に好きになるということが、過去何回かあるので、忘れないように備忘録として書いておいたほうが良いような気がしたので、書いてみました。
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2009年07月13日

アート> 「白というもの展」 R&Pギャラリー

阪急 夙川駅を出てすぐにある、R&Pギャラリーで開催中の「白というもの展」に行ってきました。 7/3〜7/14の開催です。

白が地の色になっている抽象作品を集めたグループ展。 なかなか好みの作品が展示されていて、いい感じでした。 
印象に残っている作品を書いてみますと、
外から見えるガラス張りのところに飾ってあった、丹敬子さんの作品、白地にぽつんと小さな四角いグレー。それにつながる傷の縫い跡のようにも見える感じの細い黒の線。
構成はこれだけなのですが、画面構成と線のたどたどしい感じが妙に気になる面白い画面でした。

川島紘一さんの作品、この方は白地にぽつんと1つか多くても3つくらい、やや横長の感じにごく短い線か点かというくらいの点が置いてあります。
いくつか作品が展示されていた中で、中くらいの作品で1点だけ緑の点が置いてあった作品が一番良い感じに見えました。 いつも拝見している作品は黒地なのですが白地でもいい感じです。

松谷武判さんの作品で、白地に黒の丸模様が描いてある作品。 この方は具体の作家さんで、基本真っ黒の画面しか過去見たことが無かったのですが、今回は、白地に黒模様、白地に白のビニールかな?と思える盛り上げの模様の作品など、初めて見る傾向の作品もありました。

この人も白の作品を作っているのか〜〜と過去知らなかった傾向の作品をいくつも見れてなかなか楽しませてもらえた展覧会でした。 こういうのも良いですね。。
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2009年07月12日

アート> 「ペインタリネス2009」 ギャラリー白

大阪梅田から歩いて少し、老松通り近く、西天満にあるギャラリー白で開催中の「ペインタリネス2009」を見てきました。 7/6〜7/18の開催です。

抽象平面の作家さん8人が参加してのグループ展、ギャラリー白の2つの展示空間(2Fギャラリー白,3Fギャラリー白3)を使用しての展覧会となっています。
2008年に続いて見せていただいた展覧会です。 冊子によると既に10回以上続いているグループ展だそうす。


出品されている作家さんを書いてみますと、石川祐敏、大城国夫、大杉剛司、佐藤有紀、堀内昇、真木智子、田中美和、渡邉野子さんという8人の作家さん。

印象に残った作品について書かせていただくと、まず2Fで最初に目に入った、大城国夫さんの作品。 初めて見る感じの画面で、色々な色の塗り重ねがあるのですが、一番表面に見えるのは、緑の地に大き目の赤の斑点状の模様が茫洋とした感じに描かれているといった画面。 赤の模様を描いているというとちょっと語弊があるような気がします、どちらかというと色々な色の塗りの中で地も模様も含めて結果的にこうなったという雰囲気の画面。
はっきりくっきり描き分けているのではなく、赤の上に緑が重なっているのも見えますし、更に緑の下に青が塗ってあったのも見えています。
全体の亡羊とした感じと、模様が浮いていて且つ微妙に横に流れがあるような感じがあったこと、色的には一番下の模様の辺りで青-緑-赤と3色が現われている辺りが良い感じでした。


もう一枚が、 石川祐敏さんの作品。基本的に、小さい点々の連なりで構成されていて、横ストライプ状の模様になっています。 くっきりとしたストライプ模様ではなくこれも茫洋としたところのある画面。 色的には黄色から黄緑で構成されています。 個人的にはもう一段階ぼんやりしていてくれたら更に好みと思えたのではないか?との印象でしたが、とてもいい画面でした。

去年は、ギャラリーまで行くのに、ひどく迷ったと書いてあったのですが、今年はちゃんと地図を見ながら行ったので、そんなに悩まずに行き着けました。 また来年も見てみたい展覧会です。

−−ここから反省です。。。−−
ここ数ヶ月、ほとんど記事を投稿していませんでした。 まあちょっとこの所、ドタバタしていたので、なんとなくサボってしまっていたのですが、駄目ですねぇ。。一旦”まあ今日もいいか・・”と思うようになってしまうと、逆になかなか再度書き出すきっかけが無いというか、、、、やっぱり人間楽なほうに倒れてしまうと元に戻りにくいものですね。
一応、また週に数ネタくらいを投稿するペースには戻したいと思っています。
どこまで守れるものやら?自信は例によってありませんが、まあ今の気持ちはそうであるというところです・・・。
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2009年05月25日

アート> 「マーク・ロスコ  瞑想する絵画」 川村記念美術館

千葉県の川村記念美術館で開催中の「マーク・ロスコ  瞑想する絵画」を見てきました。 2/21〜6/7の開催です。

この方は抽象の作家さんで・・・ などと書く必要は全く無いくらい、著名な抽象の作家さん。 元々私はマーク・ロスコさんの作品はとても好きだったのですが、これだけ大きな作品をまとめて見ることが出来たのは初めてで、あらためてそのすばらしさを実感したという感じで、非常にすばらしかったです。

特に、今回の展示の目玉とも言える、「シーグラム壁画」の展示は、、、
大きな空間に、巨大な画面の連作が並び、部屋全体がロスコの世界で満たされているという、何とも言葉では言いがたいくらいに良くて、”う〜ん”とか”おぉ〜”とか分けのわからないうなり声しか出てこないような状態でした。

この方の画面は、色的には、かなり色味の違う色を組み合わせて画面を作られていることも結構あるのですが、この「シーグラム壁画」の作品は、一枚を除いてはほぼ同系色で、少しの色味又は明度の違いで模様が構成されている画面。 しかし一枚一枚が巨大な画面なので、茫洋としていながら、何とも言いがたく迫ってくるものがあって、やはり圧倒されました。


こうして言葉で書くと、まあさらっとした文章になってしまうのですが、この「シーグラム壁画」のような作品+空間というものは、やはりその場に自分の身を置いてみないと、そのすばらしさは実感できないな〜と思います。 何でも大きければいいとは必ずしも言えないのは当然なのですが、この作品に関しては、大きいことのメリットを十分に生かすことが出来ている作品であると思います。
このときの感覚ばっかりは、いくら後で画集を見直しても感じられるものではないと思います。


この川村記念美術館というところは、東京駅からも結構行くのに時間がかかる、中々大阪に住む身としては、行くのにハードルが高いところなのですが、この展覧会はそんなことも吹き飛ばしてくれる非常にすばらしい展覧会でした。 足を運んで本当に良かった展覧会と思います。
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2009年05月05日

アート> 「鳥居宏展」 信濃橋画廊5

地下鉄 本町駅近くにある、信濃橋画廊5で開催中(5/4〜5/16)の「鳥居宏展」を見てきました。 信濃橋画廊の5階にある2つの内、大きいほうの展示室での開催。

この方の作風は抽象平面。 絵の具をキャンパス上に勢いよく吹き付けて、そのたたきつけられた絵の具の勢いの結果生じる絵の具の飛沫の跡、絵の具のたれ、それらが相まって、要素的には少ないながら、画面全体から勢いとか流れを感じるとてもいい画面。

今回の展示作品は、背景が全て青で統一されていました。 割とフラットに塗られている作品もあれば、透明度高めの深い青を塗って、その塗り跡とか薄く塗ったときに下に多少流れているのが判る塗り方にしてあるとかあって、その辺りが始めて見る要素になっていました。

個人的に良かったと感じたのは、全体としては、部屋に入って向かって左側の壁面に展示してあった100号くらいの横の作品。 バックは深い青で、模様の具合とあいまって、非常に幽玄で、茫洋とした大きさを感じる作品でした。 吹き付けの模様の面白さという点では、その作品の横に展示してあった小品が面白い感じでした。

前の展覧会の時も印象に残っていたのですがこの方の展示は、非常に空間を考えて、作品を絞って、空間全体がうるさくならないように上手く展示されているなぁと感じました。
今回も100号サイズが3枚展示されていたのですが、展示数としてはそれ+2枚くらいで、展示されている所、しない所のメリハリが上手くつけられていました。
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2009年05月02日

マンガ> 「竹光侍」6巻 作:松本大洋,永福一成

「竹光侍」,6巻,作:松本大洋、永福一成(原作),ビックスピリッツコミックススペシャル、小学館です。
松本大洋さんが描く時代劇の第6巻。


前巻で、牢から逃れた木久地は、その刃の矛先を 多岐家の侍たちに次々に向け、一人又一人と殺されていく。 その中で、自らの居場所が無くなっていると感じていた大三郎が木久地に果し合いを挑み、そして物語から消えていく。

アクション的には、この巻の一番の盛り上げどころが、この木久地と大三郎の対決シーンでしょう。 いつもの躍動感もいいですが、自らの最後を芝居の一幕のように終わらせようとした、大三郎の哀しさも印象的に描かれていて、なかなか忘れがたい部分です。

そして、その顛末を知った宗一郎が、ついに自らの意思で再び国房を手にする。。
物語の先を予測するのは難しいですが、宗一郎と多岐家の家臣たちの関係が微妙に変わってきていること等も見ていると、物語は、次巻あたりで佳境に入っていくような気がします。
木久地のことだけでなく、多岐家と宗一郎のこともこれから大きく動いていくような気がしています。


最初の1、2巻を読んだ段階の感想からすると、結構違う方向にお話が展開しているなぁと思うのですが、これまで描かれてきた様々な要素が、ここに来て一気に収斂してきている感じで、非常に上手くお話を構成されているなぁと思っています。
なので、次巻、さらにその次、くらいまでを読むのが非常に待ち遠しい気分です。
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2009年04月30日

マンガ> 「この世界の片隅に」下巻 作:こうの史代

「この世界の片隅に」下巻,作:こうの史代,アクションコミックス,双葉社です。
この巻で完結です。 太平洋戦争末期の広島・呉,そこに嫁いだ、かなりのんびりな女性主人公“すず”の日常を描きながら戦争末期の困窮、物資不足、制約が増す社会、等々、本当にその時代の一庶民の生活が地に足の着いた形で描かれています。

この巻も日常生活の細かいディテールが描かれると同時に、通常描かれるような大局的な判断の様な、その時代全体を俯瞰したような見方が、如何に庶民にとっては縁遠いものであるかがはっきりと感じられます。 それだけにこういう作品が非常に貴重に思えた読後感です。

戦争はますます不利になってきて、毎日空襲警報に振り回される,すずの家族も含めた庶民達。 戦況は回復するわけでもなく、すずも片手を爆撃で失い、気持ちが一時的にバランスを崩しそうにもなる・・。 そして、広島への原爆の投下と敗戦,そしてそれでも人々は生き続けるというところで物語は終わっています。

よくニュースや太平洋戦争を振り返るドキュメンタリーで見る、天皇の敗戦の宣言にしても、庶民の感覚からすると、ラジオの音声が不明確であることも手伝ってか、なんだか明確な意思の宣言というより、なんとなく、結局負けたのか・・・という印象でしかなかったこと。 結局は誰かの思惑にただ振り回されただけであったのかという庶民の虚しい気持ちが伝わります。 その後のすずの心の中の叫び、”暴力で従わせていたから暴力に屈するのか”という言葉が、結局末端の庶民の正直な実感ではなかったか?と思いました。

私は今までも何度か同じようなことを書いていると思うのですが、国でも、会社でも、宗教でも、何であっても、組織のために個人が犠牲になるというのは基本的には良くないことだと思っています。(もちろん程度問題です・・・) 今ならマーケットに振り回されるというもの含むような気がします・・・・
そして戦争というのは、組織のためにその構成員の命を奪う、そして相手の構成員の個人の命も奪ってしまう。 だから基本的に良くないことと思います。


私がこの作品に非常に惹かれているところは、”人は生き続ける”というところが感じ取れるからであると思います。 通常、歴史のエポックというか、劇的な部分を扱った作品などは、その劇的な時期が終わった後の事まではあまり描かれてはいません。 しかし人間というのは、不幸でも幸運でも、何かドラマチックなことというのはそう長い期間のことではなく、それ以外の部分は、ごく日常を人々は生きていくものなのだろうと思います。そしてその期間の方が遥かに長いのです。
ささやかな楽しみ、ささやかな思いやり、愛情、そういったものに安らぎを見い出せるからこそ生き続けていける。 それが維持されること、それこそが本当に必要なことであると私には思えます。
 

理想のために、何かのために、ということはかっこいいし、ある意味美でもある、しかしその為に誰かの何かを踏みにじってしまうとしたら?それはどうなのだろう??と思います。個人個人が勝手なことを言って、勝手なことをしていられること(もちろん程度問題です・・)、、そのほうが、まだましな状況ではないのか? とやっぱりそう思うのです。 何かに無理やり従わせないと維持できないような社会よりか遥かにましです。

どうも最近は、”生き続ける”というところに私は惹かれていることが多いような気がします。 藤沢周平さんの”漆の実のみのる国”とか”風の果て”とか、井伏先鱒二さんの”黒い雨”とか、、そういった感じを受ける作品が気持ちに残っています。 そういったことこそ尊重すべきではないかという気分が自分の中に強くなっていると、改めて感じた作品でした。

とにかく一読の価値はある作品であると思います。 結構お勧めの作品です。 
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2009年04月26日

マンガ> 「GIANT KILLING」10巻 作:綱本将也,画:ツジトモ

「GIANT KILLING」 10巻,作:綱本将也,画:ツジトモ,モーニングKC,講談社です。
この巻は、ETUレギュラー陣の中核である、村越、ジーノ両選手が出場出来ない中、どうメンバーを組んで、次の試合に臨むか?で、次の川崎戦との試合の途中までが描かれています。


椿選手の描かれ方はあまり変わらず、色々新規にプレッシャーがかかる中、今は経験を蓄積中といった感じ。 ただ、彼を見出したというスカウトさんの発言が紹介されるなど、また新たな伏線が張られているような感じです。

また今回は、これまで脇であまり描かれていなかったベテラン選手の内面と、おそらくは彼らなりの成長が描かれるのでは?といった内容。 ただこの巻全体として、ちょっと盛り上がりに欠ける印象で、後は次巻のお楽しみという印象。 なので、この試合&この巻で色々描かれ始めている事の決着の多くは次ではっきりすると思われます。

それよりなにより、この巻で印象に残っているのは、試合相手の川崎の選手、八谷選手。 ちょっとどころか、相当に暑苦しいキャラクターで、かつ超個性的なので、他のストーリー的な要素、彼以外のキャラクター全てを食ってしまっているという印象。 (しかし試合中にこんなにしゃべれる選手って実際にはいるのでしょうか???その辺のところはさっぱりわかりませんが、どうなのでしょうね??)

どうも巻末の次巻紹介漫画のページだと、また意味深なコマがいくつかあり、又いろんなことが出てきそうな感じですね、この漫画、すでに10巻ですが、まだ達海自身のことはあまり掘り下げられていませんね、彼がなぜ選手から監督になったか?という辺りが語られだしたら、お話全体が終盤ということか?と思っているのですが、いまの調子だとまだまだ先のような気がします。
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2009年04月20日

アート> 「岡アゆみこ展」 ギャラリー猫亀屋

南海電車 みさき公園駅から歩いて15分ほど、海に近い辺りに位置している、ギャラリー猫亀屋で4/16〜4/23まで開催中の「岡アゆみこ展」を見てきました。

この方の作品は、抽象平面。 油彩で、まず地の色を塗っておいて、乾いてからもう一色を重ねて、そこを引っかいて線を引いて模様を描くというもの、引っかいたところは下の地の色が見えて、それで線がより判るという作風。 色的には、白地に黒か、逆に黒字に白というモノトーン。 一枚、グレーの作品がありました。 

引っかきは、ぐるぐると渦巻く感じの曲線が、小さな作品では少なく、大きい作品ではたくさん、その引っかきの線の太さや画面の中の配置等で印象は色々でしたが、引っかきに流れ、勢いが感じられて、動きと迫力があり非常に良かったです。
(今回は、太目の引っかきの作品が多く展示されていました。)


私が今回の作品で良かったと感じたのは、太目の線の引っかきで構成された白の作品。どちらかというと引っかきで出てきた下地と、上の色とのコントラストがはっきりしているものよりもやや穏やかになっている作品のほうが個人的には好きでした。

また、このギャラリーに行くのに、本当に久しぶりに南海電車に乗りました。 みさき公園という駅に降りたのも初めてのような気がします。(みさき公園という名前自体は知っていたのですけど) こういうあまり行かない所にいけたという意味でもなかなか良かったです。
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2009年04月19日

アート> 「浅利美織展」 信濃橋画廊5、

地下鉄 本町駅近くにある、信濃橋画廊5、で開催中(4/13〜4/25)の「浅利美織展」を見てきました。 信濃橋画廊の5階にある2つの内、小さいほうの展示室での開催。

この方の作風は、ビニールで大きな円筒状であったり、色々その会場にマッチした形の風船のような形状の物を作って、そこにフィンで空気を送り込んで膨らませて、その状態で展示空間に置くという、オブジェとも、インスタレーションとも言える感じの作品。 今回も展示空間非常にマッチしていて、とてもいい空間が作り出されていました。

この5、の展示室は、小さいコンクリート壁の展示室なのですが、その空間の奥から手前まで大きな透明ビニールの四角状の風船が占めていました。 その風船は、ちょうど真ん中に細いワイヤーがひもで縛るようにかかっていて、少しくい込んでいて、へこんでいます。
風船全体は、奥が高く(170cmくらい・・),手前が低い(足元くらい・・)その斜めの角度もいい感じで、展示室を構成している展示物の要素は、非常に少なくて、シンプル極まりない構成といえるのですが、その配置や構成が展示空間に実にいい感じに収まっていて、
今回もとても良かったです。


ただそこにある、それですごくいいという、本当にいい感じでした。 いつもながらですが、足を運んでよかった展覧会。 又次の機会があれば出来るだけ足を運びたいです。
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2009年04月15日

アート> 「松田彰、」 信濃橋画廊

この記事ももう終わってしまった展覧会の情報になります。 しかし記事を書かなかった1ヶ月弱の期間の中で見た作品で、一番印象に残っているものなので、書いておきたいと思います。
地下鉄 本町駅近くにある、信濃橋画廊で3/30〜4/11まで開催していた「松田彰 「言葉のように」」を見てきました。 信濃橋画廊の地下の一番大きい展示室です。

この方の作品は、つやのある表面の木の板の上に四角に切ったり、不定形に切ったりした紙を貼り付けて、その紙を鉛筆で黒く塗りつぶして、塗り残しの形でシャープな白い線が残っていたり、飛沫のように白い点が残っていたりという感じの画面。
鉛筆で執拗に塗りつぶされている部分の感じが面白く、筆圧のせいでしょうか?ちょっと凹凸があるようにも感じられて、とてもいい黒でした。
※鉛筆というお話であったのですが、ちょっと光の反射具合と、黒の筆致のかすれ具合などから、むしろチャコールペンシルか細身のパステルの黒のような(又は木炭か??)のような印象を最初は受けた表面の具合でした。


一番いいなぁと感じたのは、ほぼ全面に紙が貼られていて、下の木の板がほとんど見えないほど黒一色の作品。 特に、ちょっと上の部分にT字型みたいな感じに黒のはみだしがあった作品が構成的にとても面白く思えて一番印象に残っています。(奥の壁面に3枚続きで展示されていた作品)

この方の作品のもう一つの魅力は、その塗りつぶしという、いかにも手の作業が感じられる要素と、その中に、電動ののこぎりで、切込みを入れたようなシャープな直線が切れ込みとして存在していて、その対比がとても良かったです。 画面がとても緊張感のある引き締まったものになっているように私には思えました。 絵の具で線を引くということではなく物理的に下の板まで切れ込みを入れているということでより一層そう思えるような気がします。

これも要素が少なくてかつとてもいいという、個人的に好みの作風でした。 又見てみたい作品でした。
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